日本人にあった食生活をしたいなら江戸後期を参考に

この30年ほどで、日本人の食生活というのは、著しく変わってきました。

最近ではすっかり食卓に定着したオリーブオイルやアボカド、マンゴーやグレープフルーツといった食べ物も、大正や明治の時代にはほとんどが馴染みのなかったものです。

そういった風に考えてみると、この数十年での食の多様性というのは、爆発的に増していったことになります。

そして一般的に、食事の栄養素というのは、タンパク質とか、各種のビタミンとか、脂質とか、そういった成分で表示されるわけですが、これらを全て人間の体が上手に取り入れることができるわけではありません。

例えば、同じビタミンCの含有量の果物を食べたとしても、それをしっかりと吸収できる場合もあれば、うまく吸収しきれずに、体外に排出してしまう場合もあるのです。

そしてその一つの基準となっているのが、ある食べ物を食べ慣れているかどうかという違いです。

例えば、日本人は昔から米を食べてきましたが、その為に米を消化して吸収するということに関しては、上手にできるように体が適用しています。

これに対して、オリーブオイルというのは、昔から日本人が食べていたものではない上に、日本人の体というのは、あまり油への体制が強くないので、胃がもたれてしまったりして、副作用が出てくることも少なくありません。

イタリアの一部の長寿の村を調べてみると、オリーブオイルの摂取量が多いということがわかったりしますが、それと同じ種類のオリーブオイルを日本人が摂取したからといって、同じ効果を得られるとは限らないのです。

一般的に人間の体が、ある食べ物に適応するためには、だいたい5世代かかると言われています。

つまり、祖父の祖父母の祖父母のその親の世代から食べているような食べ物であれば、上手に消化、吸収、再構築の流れを作ることができるのです。

こう考えてみると、だいたい江戸時代の末期ぐらいが、このタイミングにあたりますので、明治に入る前ぐらいから、食べていた食べ物というのは、それだけ日本人の体にマッチしているということになります。

そう考えてみると、新しい食材をどんどん食卓に取り入れてみるということは、子孫への影響ということで言えば、プラスになります。

これはなぜかというと、それだけ適応できる食材が増えていくということですので、食事の幅が広がっていくことになります。

但しこれも、自分の子供とか孫とか、そのくらいの世代というよりは、もう少し後の世代にプラスに働くという風に、考えておいた方がいいでしょう。

逆に、自分が健康になるということを考えるのであれば、比較的最近になって入ってきた食べ物よりは、江戸時代から残っていたような日本古来の食べ物を、積極的に摂取することが重要であるということになります。

古くから伝わっているものというのは、それだけ体に馴染んでいますので、決してバカにすることはできません。

そういった意味でも、あえて100年前の食生活に立ち返ってみるとか、そういった視点で、栄養のバランスというのを考えてみると、上手に消化や吸収ができて、ただ単に栄養素が口から入るだけではなくて、しっかりと体に行き届くことになります。