過呼吸の対処法に関するありがちな誤解が危険

自分が、あるいは周りが過呼吸になった時の対処法として、
広く知られているのがペーパーバッグ法。

いわゆる紙袋やビニール袋を口に当てることで、
酸素を減らして二酸化炭素を増やす方法です。

たしかに、この方法は
根本から間違っているわけではありません。

しかし、見よう見まねで、
というよりも聞きかじった知識だけで実行するのは
時に危険になります。

冷静になって考えてもらいたいのですが、
頭からビニール袋をかぶせて息ができないようにすれば、
やがて窒息します。

過呼吸の時にしたって、
二酸化炭素の濃度が高まりすぎれば同様のことが起きます。

良かれと思ってやったのに、
結果として命を奪うことだって可能性としてはあります。

そのため、過呼吸の対処法として、
とりあえず袋を口に当てればOKという安易な考えは危険です。

もっとも、ペーパーバッグ法が一般に知られている通り、
この方法が悪いわけではありません。

様子を見ながら少し袋をずらすとか、
少し穴をあけて適度に換気できるようにするとか、
その辺の配慮が必要です。

特に周囲で過呼吸の発作を起こした人がいる場合、
様子を見ながら調節してあげてください。

「そのくらいは、自分で分かるでしょ。

窒息するぐらい苦しかったら、袋を外せばいいんだし」

そんな風に思うかもしれませんが、
過呼吸の症状が出ているときは通常とは違い、
適切な呼吸が元々できていません。

その段階で苦しくなっているわけなので、
袋が原因で窒息しそうかどうかの判断が
本人にはつきづらいのです。

未経験者から見れば、意味が分からないかもしれません。

息をするだけというごく普通の動作なわけですし、
それが難しいと言われてもピンとこないのも
無理からぬことです。

ただ、実際に過呼吸はそういう病気ですし、
対処法を間違えると危険なこともあるのは
頭の片隅にでも入れておいてもらえればと思います。

また、親しい友人やクラスメート、家族、同僚等で
繰り返し発作を起こしている人がいるような場合を除き、
周囲としても慣れていない状態での対処になるため、
多少なりとも取り乱したり、パニックになったりします。

道を歩いていて、いきなり苦しみだした人を見かけたら
頭が真っ白になるのは普通の反応です。

その原因が過呼吸にあることを突き止めるまでにも
時間がかかるでしょう。

こうなってくると、意外にも適切な対処は難しいのです。

もしかしたら、と薄々感づいたとしても、
いきなり赤の他人の口に袋を
押し当てるのは勇気が要りますし、
事情を知らない第三者には
あなたがその人を襲っているように誤解されるかもしれません。

また、手元に適当な袋がなくて、
近くのコンビニやスーパーで調達するところから
始めなければいけない場合もあります。

こういったことを考えても、
過呼吸の適切な対処法というのは案外難しく、
簡単にできることではありません。

時には連携や第三者の意見が役に立つこともあります。

周りに人がいる場合には、
助けを求めることも必要になるでしょう。

1人が苦しんでいる人を助けつつ、
他の人が電話で救急車を呼ぶといった分担もできます。

あらぬ疑いを防ぐためにも、
情報を共有して協力を仰ぐことも大切です。