一部には、
「中耳炎は自然治癒するので放置しても大丈夫」
という風潮があります。
あながち間違いではないのですが、
場合によっては危険な考え方なので補足をしておきたいと思います。
まず、そもそもの自然治癒の可能性についてですが、
これは十分にあります。
というよりも、基本的にはそのままにしておいても
回復していくことになります。
特別なことではなく、ほとんどの病気はそうですね。
風邪等を考えていただけば分かるはずです。
その意味で言うと、
たしかに特別な治療を行わなくても治る病気と言えます。
では、中耳炎は放置して問題ないかと言えば、
必ずしもそうではありません。
たとえば痛みが激しい時は痛み止めが処方されますし、
限られたケースにおいてですが抗生物質が出されることもあります。
また、耳の中にたまった膿を吸い出すこともあります。
要は深刻なケースにおいては、
中耳炎の自然治癒を待つのではなく、
積極的な治療が必要となるのです。
ケース・バイ・ケースの判断になってくるので、
このあたりは耳鼻科医の知識が必要になってきます。
部分的に聞きかじっただけの生半可な知識だけで
素人判断するのは危険なので止めておいた方がいいです。
中耳炎だと思っていたら、
実は他の耳の病気だったという可能性もあります。
薬(特に抗生物質)を子供に使うのを嫌がる親御さんもいますが、
その旨を医師に伝えて他の選択肢の可能性、
想定されるリスクについて確認しておいた方がいいです。
薬には毒性があるのは事実ですが、
それを考慮に入れても使った方がいい場合もあります。
とにかく薬を断固として拒否すれば健康体になるわけではありません。
また、東洋医療によって免疫力を上げ、
自然治癒させるという考え方もあります。
ただし、これまでも何度かお伝えしている通り、
基本的には病気の顕著な症状が出てから
中途半端な対策を取っても劇的な変化が出ないことも多いのです。
特に東洋医療は範囲が広いので、
何をするかによっても効果の出方が違います。
たとえば、鍼を使うにしても、
素人のような人が形式的に行っているだけの場合もあるので、
西洋医学のような信頼性がないのも事実です。
そうしたことを考えると、
はっきり中耳炎になっているような場合、
特に症状が重い時に付け焼き刃で東洋医療に頼るというのは、
個人的にはリスクが低くはないと思っています。
潜在的に大きな可能性は秘めていても、
日本において十分なレベルの施術を誰でも簡単に受けられる環境は
残念ながら整っていません。
そのことを前提に考えておくべきでしょう。
まとめると、
・原則として中耳炎は自然治癒する
・ただし、治療や処置を必要とする場合もある
ということです。
迷ったら耳鼻科医に診察してもらいましょう。