一部には、中耳炎は放置しても自然治癒するから、
わざわざ耳鼻科や小児科に行かなくても大丈夫、
という風潮があります。
この考え方は丸々間違っているわけではないのですが、
過信するのは危険です。
というのも、たしかに特別な治療を行うまでもなく、
時間の経過とともに症状が改善されていくことは多いです。
その意味で言えば、
風邪と同列に扱われるのもうなづけるところはあります。
病院に行ったところで、
特別な抗生剤やその他の薬が処方されるわけでもなく、
これならわざわざ足を運ぶ理由がなかったと
徒労感を抱いてしまうのも納得できます。
ただし、場合によっては鼻水を吸い出す必要があったり、
抗生剤を必要としている場合もあるので、
中耳炎を放置することで処置が遅れたり、
適切な段階で治療を行えなくて問題が複雑になることもあります。
というのも、慢性中耳炎になるような場合もあるので、
こうなってくると繰り返し症状が出ることになります。
痛みのように目に見えた症状は短時間で収まる事が多く、
冷やしたりすることで一時的に改善されたりもします。
そのため、自宅で夜中に子供が泣きだしたのに、
車や病院のエアコンで体が冷えて痛みが和らぎ、
大人しくなるということもあります。
耳のあたりを冷やすという処置があるぐらいなので、
意識しなくても体が冷えたことで痛みが緩和することもあるのです。
とは言え、せっかく病院まで来てしまったし、
このまま帰るのも無駄足なので、
とりあえず医師に見せておこうと思ったところ、
特に何の薬も出されないというのは複雑でしょう。
しかし、放置しておくリスクもあると考えれば、
むしろ深刻な事態ではなくて良かったとも考えられるのではないでしょうか。
子供の場合、中耳炎に限らず様々な病気にかかります。
大人のように免疫がしっかりしていないので、
これは仕方のないことです。
中には健康の見本のような子供もいますが、
あくまで例外的な存在です。
我が子にそのような道を歩むのを望むのは、
プロ野球選手になって活躍することを要求するようなものです。
可能性までは否定できませんが、
決して高確率ではありません。
まして後に影響が残らない病気であれば、
そこまで過敏になる必要もありません。
確かに病院まで出かけるのは大変ですが、
余計な薬を使わずに自然治癒を望めることが確認できただけでも
十分に価値があると思います。
状況がよく分からない中での放置と、
不要なので薬を与えないというのはまったくの別物です。
その違いを明確にするだけでも、
一度医師に見せておく価値はあるものと思います。