大人だから中耳炎にならないという落とし穴

中耳炎は大人にとって無縁な病気という誤解がありますが、
これは完全に根拠がないわけではありません。

たしかに頻度の上では子供、特に10歳未満の発症率が高く、
その意味では成人にとって縁が遠いのは事実です。

これはどういうことかと言うと、
発症のメカニズムにさかのぼります。

子供・大人の別に関わらず、中耳炎の原因は同じです。

誤解されがちなプールやお風呂で耳に水が入ったことではなく、
鼻から耳管を通っての感染となるのですが、
年齢によってこの部分に差がでます。

耳管は大人の方が長く、上下の角度が付きます。

言い換えれば、子供は耳管が短いので
鼻から耳に細菌が感染しやすいのです。

しかも地面と平行に近い状態であるため、
ますます感染しやすい傾向に拍車がかかります。

年齢とともに鼻と耳の間に距離が置かれることになり、
それが大人の中耳炎の発症率の低さにつながります。

とは言え、一度かかったら抗体が体内に作られたり、
あるいは子供特有の病気ということではないので、
年齢に関わらず発症することはあります。

たとえば、風邪をこじらせている時に中耳炎になるとか、
そういうことはあるのです。

大人の場合は子供のようにゆっくり休めない事が多く、
体調を崩しても無理に出勤しなければいけないのが
悩ましいところです。

有給を使うだけでも一苦労の日本社会ですので、
いくら体が悪いとは言え、気兼ねなく休み続けるのは難しいでしょう。

中途半端な体調で出社しても労働効率が落ちますが、
現実にこなす仕事の量や質よりも、
周囲との感情的な調整の方が重要であったりするので、
ある意味では仕方ないのかもしれません。

ただし、大人だから有利であることもあります。

それは理性で自分を律することができる点です。

中耳炎の対策の1つに、
鼻の通りを良くしておくことがあります。

そのため、鼻をかんで清潔な状態にしておくのが望ましいのですが、
これは子供だとなかなかやってくれません。

親が細かくチェックしないといけないのですが、
大人は自分の意思で鼻をかむことができます。

また、この際は勢いに任せるのではなく、
優しくかむようにしましょう。

力いっぱいやってしまうと、
耳を痛めることになりかねません。

なお、中耳炎は急性の痛みや腫れが引いても、
治るのには数週間から3ヶ月ほどかかります。

この間ずっと安静にしている必要はなく、
仕事をすることもできるのですが、
症状が悪化して反復してしまうこともあるので注意してください。

特に睡眠不足や過労等の無理な働き方をすると、
体の免疫力自体が下がることになります。

こうなってくると再発リスクも上がってしまうので、
可能な範囲でしっかり休養をとっておきたいところです。

と言っても、それを実現できないのが社会人の辛いところですが。

健康維持のために生活習慣をコントロールしたくても、
事情がそれを許さないというのが大半の人の現実です。

理想を追い求めるのもいいのですが、
妥協点というか、現実的な落とし所を見つけるのも
社会の中で生き残っていくためには必要なのかもしれません。