中耳炎にはいくつかの種類があるが、誤解されやすい部分がある。
というのも、同じ患者さんであっても、
段階によって名前が変わっていくから。
他の病気であれば、多くの場合、
種類が違えばそれぞれ交わることはない。
たとえば、突発性難聴と先天性難聴、伝音性難聴が
それぞれに異なるように。
中耳炎の場合、まずは急性中耳炎というものがある。
これは文字通り急性の症状を示しているもので、
症状としては腫れの他に頭痛や耳痛、発熱などを起こすこともある。
問題はここから。
この人がどうなっていくかというと、
別の種類の滲出性中耳炎(しんしゅつせい)に変化します。
この段階では、耳に滲出駅がたまっている状態で、
頭痛等の症状はほとんど出ません。
ただし、耳の聞こえが悪くなって、
一時的に聴力が衰えることがあります。
3ヶ月以内に改善されるのが基本ですが、
長引くと数年単位になることもあります。
出世魚が名前を変えていくように、
急性中耳炎から滲出性中耳炎へと変わり、
それから回復という流れをたどるので、
以前に聞いたものと違うという感想を持たれる方もいます。
聞きなれない話を色々聞かされることになるので、
記憶があいまいなこともあるでしょう。
混乱が起こるのも無理がないことと言えます。
子供が激しい頭痛を訴えるような場合であれば、
その段階で気が動転していることもありますし。
このように、まったく別の種類の病気ではなく、
段階によって名前が変化することを覚えておいてもらえば、
だいぶ理解していただきやすくなるかと思います。
また、他にもいくつか種類があるので、紹介しておきます。
まずは慢性中耳炎です。
その名の通り、症状が慢性化してしまったものです。
鼓膜に穴が開いていたり(鼓膜穿孔)、
鼓膜の上皮の細胞が通常より増殖してかたまりになる真珠腫が
見られるようなこともあります。
似たような名前ですが、別の種類のものとして、
反復性中耳炎もあります。
こちらは主に乳幼児に見られるもので、
急性中耳炎を何度も繰り返して発症するものです。
頻度としては、1年に5回以上が目安となります。
初めて中耳炎になった年齢が低いほど、
反復性になるリスクは高いとされています。
最後は航空性中耳炎です。
飛行機に乗っていると、
離陸のタイミングや上空で耳がキーンとなることがありますが、
いわゆる耳抜きやあくびによって基本的には解消されます。
しかし、場合によっては耳痛や難聴、頭痛、耳閉感等が続くことがあります。
これは耳管の働きがうまくいかない場合に起こり、
特に飛行機の下降時に起こりやすいのが特徴です。
私の知り合いがタイで飛行機に乗った時、
鼻詰まりがひどい状態でフライトに望んだところ、
耳にプールで水が入ったように音が遠くなり、
耳の奥が痛くなってどうしようもなかったと言っていました。
その症状が飛行機を降りてもすぐには収まらず、
着陸後1時間ほどして、ようやく解消されたようです。
それだけで体力を消耗してしまい、
ホテル到着後はしばらくダウンしていたということでした。
このケースもおそらくは航空性中耳炎ではないかと思います。
このように、様々なケースがあるわけですが、
特に主要なのは急性・滲出性と慢性の3つです。
と言っても、急性と滲出性は元々1つではありますが。