精の不足によって生じる病気

精には生れつき体にある先天の精と、
食べ物から作られる後天の精があります。

先天の精は腎に貯蔵されており、
後天の精は脾で作られます。

そして、精は成長や生殖、老化と関係し、
足りないと腎の働きが悪くなります。

年齢を重ねると、抜け毛や歯の衰え、
聴力の低下、腰や膝の痛み、認知症等が起こりますが、
これらも精の不足が原因とされます。

元々、腎は髪や歯、皮膚、脳とも関連が強いため、
このような症状が出てしまうのです。

腎精不足の場合には、腎の固摂作用を弱め、
失禁等の原因になります。

女性だと流産のリスクも高まります。

先天の精は誰にでも平等に備わっているわけではないため、
少ない子供は小児喘息やおねしょ等の問題に
直面しやすくなります。

ただし、成長過程で後天の精が増えてくれば、
先天の精の不足分を補うことは可能です。

そのため、生涯先天の精が足りないことに
悩まされるわけではありません。

気や血、津液と同様に、
バランスのとれた食事を取っていないと
水穀の精微が足りなくなり、
精もつきません。

また、脾の働きが不調の場合も同様です。

長期に渡る慢性病、老化等でも精を消耗し、
不足する原因になります。

逆に多すぎて体調を崩すことはないとされ、
足りないことが問題となっています。

なお、腎中の精気は女性と男性で異なる周期を作り、
女性は7年ごとの周期、男性は8年ごとの周期で
生理的な変化を起こす傾向にあります。

もちろん個人差はありますので、
大まかな目安として考えてください。

このサイクルを2周回った段階、
つまり女性なら14歳、男性なら16歳で
天癸(てんき)が作られ、
生殖面での成熟が促されます。

年齢を重ねると腎中の精が衰え、
7周目のサイクルが終わったところ、
女性なら49歳、男性なら56歳が
生殖能力を失う目安となっています。