統一体観という東洋医学の視点

東洋医学においては、人体も宇宙も
統一体であるという視点があります。

西洋医療の場合、
特定の症状が起きた時には、
その部分を治療するという考え方が基本です。

胃炎になれば胃を治療するということですね。

これに対し、東洋医学の場合には
体を1つの統一体として考えるので、
同じ胃炎でも治療のアプローチには様々なものが考えられます。

胃に問題がある場合もあれば、
脾に何かのとどこおりが起きていることもあります。

あるいは別の臓器の不調が
結果的に胃にしわ寄せをもたらしていることもあります。

そのため、同じ症状に別の治療をする同病異治や、
逆に別の症状に同じ治療を施す異病同治もあります。

一見すると意味不明ですが、
統一体観という見方を前提にして考えると納得できます。

極端な話、人体も地球も宇宙も1つのつながりであり、
同じ原則が当てはまるという考え方があります。

言い換えると、昼から夜へと時間が移り、
春から夏、秋、冬へと季節が巡るように
地球も人体も変化が起こるものと考えます。

そのため、東洋医学においては
夏に出やすい症状であるとか、
乾燥時に出やすい問題といったものもあります。

陰陽のバランス

統一体観を語る上で、
陰陽の2つの概念は重要な意味を持ちます。

と言っても、日本人にとっても言葉ぐらいは
なじみがありますし、
陰を表す黒と陽を表す白が混ざり合った円の図は
目にしたことがありますよね。

あれは陰陽のバランスを示していて、
実際には一方が不足したり、
極端に強くなることがあります。

そうした状態になると体調を崩すことになります。

一方が強まりすぎた状態が偏勝と呼ばれ、
逆に一方が弱くなりすぎたのが偏衰と称されます。

陰が悪くて陽が正義というわけではないので、
陰が不足しても偏衰に該当し、病気の原因になります。

これは自然にも当てはまり、
昼間なら陽が強くなり、
夜は陰が勢力を増すといった具合に
それぞれの立ち位置が変わっていきます。

そして、夏なら陽が強くなりすぎるため、
それを調整するために汗をかきやすくなります。

逆に冬が近づけば汗腺を閉ざすことで
体内の陽が不足しないようにするのです。

このように、陰陽で重要なのはバランスです。

そして、統一体観はそれぞれの臓器の関係にも言え、
五臓六腑の関係というのも個別ではなく、
東洋医学では1つの連続のもとに見ます。

ここには木火土金水の考えや、
それぞれの臓器と味覚、気分、食べ物との関係等もありますが、
それはあらためて解説しましょう。