高校生の時に過呼吸の症状を繰り返した女性の話

今回はある女性から聞いた体験談について書きます。

この方は高校の時に何度も過呼吸の症状に陥り、
それも学校にいる時に発作が起きていました。

授業中ではなく、すべて放課後で、
時には吹奏楽部の部活中、
あるいはクラスメイトと話している時ということです。

彼女自身も原因は自覚していて、
当時のクラス内に流れていたギクシャクした空気が
ストレスになっていたそうです。

ある時、過呼吸になってパニックに陥ってから、
また同じことになるのではないかという恐怖に付きまとわれ、
症状そのものの苦しさに加えて、
もう1つの不安にも悩まされることになりました。

それがクラスメイトや他の生徒の目です。

一部には、関心を引きたいための演技のように
噂する人達もいたそうで、
そうした誤解を気にしてしまうことが
さらなるストレスを連れてくるという悪循環に陥り、
在学中に何度か発作を起こしてしまっていました。

元々体が弱かったわけではなく、
持病もなかっただけにショックだったそうです。

結局、部活でも演奏会に出ている最中に
発作が出てしまうことが怖くてサポート役に回り、
3年生として引退間際の時にも表舞台に立つのは避け、
悔しい反面でほっとした気持ちだったということです。

顧問の教員に相談しに行った時には、
思いの外あっさりと了承されたことに
肩すかしを食らった気分で、
最初から辞退を望まれていたのかもしれないと
感じることになりました。

たしかに、部のことを考えると、
大事なコンクールの演奏中に過呼吸の症状で倒れる人が出れば、
その時点でアウトになります。

心配の種は排除しておきたいというのも、
無理からぬ事ではあります。

それでも教育者としては、
簡単にメンバーから外すこともできないでしょう。

発作が出るかどうかは不確定な上、
3年生であればほぼ確実に出るのが慣例ということなので、
顧問から発案すれば問題にされる可能性もあります。

結局、本人の口から辞退が宣言されたことで、
すべてが丸く収まることになりました。

彼女自身の気持ちを除けば。

卒業後はトロンボーンを吹く機会もなく、
ただし過呼吸の症状も出ることがなくなったそうです。

大学の伸び伸びした空気や、
開放感のあるキャンパスが閉鎖的な高校の教室とは違い、
彼女の性質に合っていたのでしょう。

この方のケースでは、
高校卒業・大学への進学によって自動的に環境が変わりました。

しかし、社会人になると時間がたつのを待っても
なかなか環境の変化が起きません。

定年を一生に一度と仮定すると、
(再就職等で再び定年を迎えることもあれば、
定年前に退職することもあるので)
約40年に1度の頻度ということになります。

部署の配置換え等はもっと頻繁にあるにしても、
待つには厳しいものがあります。

そういった意味では、
彼女の場合は比較的恵まれていたと
言えないこともないのかもしれません。